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ガウン・エプロン

Ⅰ. 目的

1)湿性生体物質による汚染から医療従事者を守る血液や体液で汚染される可能性がある場合、医療従事者の衣類や体幹部の皮膚を守ります。
2)湿性生体物質による汚染から患者や物品を守る医療従事者が無菌的処置をする際、医療従事者の衣類に付着している埃や病原体に患者や器材が曝露されるのを防ぎます。

Ⅱ. 適切なPPE の選択とポイント

1)ガウンの規格基準
ガウンなどの保護着衣は血液など湿性生体物質の曝露を防止する必要があるため、液体防御性能が高いガウンを使用します。AAMI(米国医科器械振興会)において、水、合成血液、バクテリオファージなどへの液体防御性能基準が設けられています


液体防御性能基準(AAMI)

Level 試験方法 結果
1 スプレーインパクトテスト(AATCC42) ≦4.5g
2 スプレーインパクトテスト(AATCC42) ハイドロプレッシャーテスト(AATCC127 ≦1.0g ≧ 20cm
3 スプレーインパクトテスト(AATCC42) ハイドロプレッシャーテスト(AATCC127) ≦1.0g ≧ 50cm
4 バクテリオファージテスト(ASTM F1671) Pass

Association for the A dvancement of Medical I nstrumentation(A A MI ) :L iquid bar rier per formance and classification of protective apparel and drapes intended for use in health care facilities. A rlington, VA : A A MI , 2003
L evel 1: スプレーインパクトテストで、クリティカルゾーンにあたる生地を透過する液体の重量が4.5g以下であること
L evel 2: スプレーインパクトテストで透過した液体の重量が1.0g以下であること、同時にハイドロプレッシャーテストでは少なくとも20cmであること
L evel 3: スプレーインパクト
L evel 4: バクテリオファージPhi‑X 174へのバリア性能テストで、AQL 4%を示す必要があること

ガウン・エプロンの材質は綿、不織布、プラスチックなどさまざまです。綿や不織布のものは通気性に優れ、着心地にも配慮されていますが、血液など湿性生 体物質に対するバリア機能が十分ではありません。湿性生体物質からの汚染を防御するためには、撥水や防水効果のある素材やプラスチック製のガウンやエプロンを着用する必要があります。

Ⅲ. ガウン・エプロンが必要な臨床場面

1)患者のケア中に、血液、体液等の感染の可能性がある湿性生体物質が、衣類や皮膚に飛散する可能性がある場合
  • 嘔吐時
  • 吐血
  • 喀血時
  • 吸引時
2)接触感染の病原体を保有する患者にケアをする場合
  • 全身清拭など
  • 広範な熱傷、開放創などの処置ケア時など
3)汚染している器材などを扱う場合
  • 排泄物の処理時
  • 汚物や汚染した器材の片付け、洗浄時
  • 手術器材等の洗浄時など
※ガウンは主に次の用途に用いる
  • 衣類の前腕部を汚染しやすい処置を行う場合
  • 飛散する血液、体液が非常に多い場合
  • 感染力の強い感染症の患者に接触する場合
  • 患者に対し、被服の埃等を完全遮断する必要がある場合

Ⅳ. 指導のポイント

  1. 内部に浸透しない素材のエプロン・ガウンを使用します。感染防止を目的として布製の予防衣やエプロンは使用しないようにしましょう。
  2. ガウンは長袖で手袋と重なり、手首に密着する袖口があるものを選択します。
  3. 処置やケアの終了後、病室内から退室する前にエプロン・ガウンを脱ぎます。
  4. エプロン・ガウンは1回ごとの使い捨てとします。
  5. エプロン・ガウン外部の汚染した側を内側にし、包み込んで廃棄します。

種類と特徴


表1. ガウン・エプロンの種類と特徴

表1. 眼の防護具の種類と特徴
種 類 防護能力 利 点 欠 点
ガウン A. 撥水タイプ 少量であれば液体物質の浸透を防げる 不織布の場合は、撥水性と通気性を持ち、蒸れにくい 大量の液体には対応できないフリーサイズのものが多い
B. 防水タイプ 液体物質の浸透を防ぐ 防護性が高い滅菌タイプよりも安価 蒸れるため、長時間の作業に不適フリーサイズのものが多い
C 滅菌タイプ 血液防護性が高い電気メスなどの引火がしにくい 防護性が高いだけでなく、通気性や汗を吸収性があるサイズが選択できる 高価
エプロン ビニールあるいはプラスチック 液体物質の浸透を防ぐ 着脱が簡便 腕への曝露を防止できない破損しやすい

着脱方法について


ガウン装着時のポイント

  1. PPEを装着前に手指衛生(手洗いや擦式アルコール消毒剤の擦り込み)を行います。
  2. 着用するときは、袖を先に通し、首の後ろのひもを結びます。
  3. 腰の後ろのひもを結び、その後、手袋を着用します。
  4. 手首が露出しないようにします。

ガウンを脱ぐときのポイント

  1. 外すときには、首の後ろのひもを解き、腰のひもを解きます。
  2. ガウンの外側は汚染しているため、端をもつか、袖の内側からすくい上げるようにし、手を引き抜きます。
  3. 汚染面を中にたたみ、小さくまとめて廃棄します。
  4. PPEを脱いだ後は、手指衛生を行います。



エプロン装着時のポイント

  1. PPEを装着前に手指衛生(手洗いや擦式アルコール消毒剤の擦り込み)を行います。
  2. 首の後ろの部分を開き、首にかけます。
  3. エプロンの前を開き、ひもを腰の後ろで結びます。
    ※破れないように丁寧に操作しましょう。

エプロンを脱ぐときのポイント

  1. まず、首の後ろのひもを左右に引っ張り、切ります。
  2. 前あてを前に垂らします。
  3. 裾を手前に持ち上げます。
  4. 汚染面を中に折込み、三つ折にします。
  5. 汚染面を中にたたみ、小さくまとめて廃棄します。
  6. PPEを脱いだ後は、手指衛生を行います。。

文献
  1. CDC:Guidance for the Selection and Use of Personal Protective Equipment (PPE) in Healthcare Settings.http://www.cdc.gov/ncidod/dhqp/ppe.html
  2. CDC: Guideline for Isolation Precautions ;Preventing Transmission of Infections Agents in Healthcare Settings 2007.
  3. Association for the Advancement of Medical Instrumentation(AAMI) :Liquid barrier performance and classification of protective apparel and drapes intended for use in health care facilities. Arlington, VA : AAMI, 2003
  4. 洪 愛子編集:感染対策の必須テクニック117 INFECTION CONTROL 秋季増刊, メディカ出版, 大阪,2010.
  5. メディカルサラヤ:ガウン・エプロン/PPE 別解説 個人用防護具のススメ サラヤ株式会社 〈http://med.saraya.com/ppe/kaisetsu/gown.html〉

滅菌ガウンの適性使用ガイド


医療関連感染防止のために、ガウンに求められる機能に関する項目として、次のようなガイドラインがあります。

『濡れても滲みこまないで、手術野の清潔の保てる素材のガウンや覆布を使用する』
※「手術医療の実践ガイドライン」(日本手術医学会)
『処置中及び患者のケア中に、血液、体液、分泌物または排泄物との接触が予測されるときには、皮膚を保護し、衣服の汚れや汚染を予防するために、業務に適 しているガウンを着用する』※「隔離予防のためのガイドライン2007 年度版」(CDC)
CDC:Centers for Disease Control and prevention 米国疾病管理予防センター

手術用ガウンが手術中に感染に関わる要素として、次のことが挙げられます

 医療従事者(着用者)に対して 
●着用中に、ガウンの内側に液体が染みてしまう
 ⇒バリアー性の高いガウンほど、液体が浸透するリスクが小さくなります。

 患者さんに対して 
●医療従事者の汗が術野にさらされる
一般的に一日に出る汗の量は約0.5 リットルですが、運動や緊張等により、最大で10 倍程度の汗をかくことがあるといわれています。通常は水蒸気(粒径:約3×10-10m)となって発散されますが、量によっては水滴となり、感染の原因になる可能性が考えられます。
⇒バリアー性の高いガウンほど、汗が内側から術野に浸透するリスクが小さくなります。
⇒着用快適性の高いガウンを着用すれば、汗をかきにくくなります。

●ガウン自体から発生する繊維が術野にさらされる
⇒繊維が浮遊しづらい長繊維、低発塵性の素材を使用することで、リスクを低減することができます。

●医療従事者の皮膚落屑等が術野にさらされる
⇒皮膚落屑よりも目の細かい一般的な不織布ガウンを着用することで、リスクを最小にすることができます。

また、それぞれの手術における、術野の清潔度や感染リスクに応じたガウンを選定するのが望ましいといえます。その事例をいくつかご紹介します。

○創分類の清潔度が高い手術(整形外科、心臓外科、脳外科)は、交差感染にシビアである。
⇒低発塵性、高バリアのガウンを使用することで、感染のリスクを低減することができます。

○インプラント手術(人工骨頭、ペースメーカーなど)は、交差感染にシビアである。
⇒低発塵性、高バリアのガウンを使用することで、感染のリスクを低減することができます。

○手術時間が長い方が感染リスクが高い。
⇒高バリアのガウンを使用することで、感染のリスクを低減できます。

○感染性疾患(HIV、HCV など)患者の手術は、術者が曝露した際の感染リスクが高い。
⇒高バリアのガウンを使用することで、感染のリスクを低減できます。

○腹腔鏡下手術は、閉鎖系で行われており、腹膜を通過しているため、一般的に感染のリスクは少ない。
⇒汎用的な手術用ガウンで、感染のリスクを低減できます。

手術用ガウンに起因する感染を防ぐためには、用途に合わせたガウンの選定が必要であり、特にバリアー性が重要となります。
手術用ガウンのバリアー性を区分する基準として、AAMI による規格(PB70)があります。
AAMI:Association for the Advancement of Medical Instrumentation 米国医科器械振興会

ガウン製品のエリア分け



 ガウン製品としてのAMMI PB70レベルは、クリティカルゾーン(エリアA、B)である、前面胴体部分、袖部分のバリアー性によって決定されます。
 クリティカルゾーン以外の前面部分(エリアC)は最低限のバリアー性(レベル1 以上)で良く、後ろ身頃部分(エリアD)のバリアー性は必要ないとされて います。

試験方法


衝撃耐水性(ウォーターインパクト法) AATCC42 / JIS L 1912
 スプレーによるファブリックに対する水の衝突時の浸透性を測定する試験方法。サンプル(この場合ガウン素材)の下に敷いたろ紙への水の透過量を測定する試験方法で、数値が低い方が目が細かい(または防水)という評価になります。


耐水性 AATCC127 / JIS L 1912
 静水圧下においてファブリックに対する水の浸透性を測定する試験方法。サンプルの表面において、3 つ目の水滴が現れた水圧を記録します。 高い値ほど良い。


人工血液による浸透に対する抵抗性の試験方法 ASTM F1670 / JIS T 8060
 防護服衣服素材の合成血液による侵入に対する抵抗性のための標準検査法。

Phi-X174 バクテリオファージによる血液媒介性病原体の浸透に対する抵抗性の試験方法
ASTM F1671 / JIS T 8061
 Phi-X174 殺菌ウイルスの侵入を用いる防護用衣服素材の血液媒介性病原体の侵入に対する抵抗性のための標準検査法。


第1ステップ:人工血液が14KPa の圧力下で試験片を浸透するかのチェック(合格/ 不合格)
     -合格品のみ第2 ステップへ
第2ステップ:試験用のウイルスを使用し、14KPa の圧力下で浸透するかのチェック(合格/ 不合格)

滅菌ガウンの種類と選定基準


AAMI
PB70レベル
AAMI
要求データ
※P35 に試験方法を記載
対象製品 臨床上の適用範囲(目安)※
種類 素材構造 出血などの液体量 手術時間 その他 広い














狭い
4 ASTM F1671(JIS T 8061A法)合格 バリガードガウンフィルムを含む三層構造の防水ガウンです。背中部分は通気性がある不織布を使用しています。 限定なし 限定なし 限定なし
3 衝撃耐水圧≦1.0g 耐水圧≧500mmH₂O サーレムガウン(Nタイプ)長繊維不織布のガウンです。撥アルコール性、通気性があります。 500ml以下 4 時間以内 手術中の発汗量:アンダーウェアで吸収できる程度
スープレルガウン長繊維不織布のガウンです。撥アルコール性、通気性があります。
2 衝撃耐水圧≦1.0g 耐水圧≧200mmH₂O サーレムガウン(K、Fタイプ)サーレムガウン(N タイプ)に対して、より快適性を追及したタイプです。 200ml以下 2 時間以内または腹腔鏡下手術 手術中の発汗量:アンダーウェアで吸収できる程度
ソンタラガウン短繊維不織布のガウンです。撥アルコール性、通気性があり、布に近い風合いを持っています。
1 衝撃耐水圧≦4.5g 該当製品なし
※手技上の適用範囲に示す液体量、手術時間当の条件はあくまで目安です。
 「滅菌ガウンの適性使用ガイド」に示す事例を参考に、術野の清潔度、感染リスクに応じたガウンの選定をお願いします